廃棄基準・使用限度の規格や基準等
2021.06.16 Wire Rope
ロープの廃棄基準や使用限度については、法規や日本工業規格などに次のように規定されています。
①クレーン等安全規則及び新クレーン構造規格、新移動式クレーン構造規格
ロープ1よりの間において総素線数(フィラ線を除く。)の10%以上の素線が破断したもの、直径の減少公称径の7%を超えるもの、キンクしたもの、著しい形くずれ・腐食のあるものの使用を禁止しています。
②日本クレーン協会規格 JCAS 0501-1986
最外層ストランド中の素線の総数に対して、断線数がロープ1よりの間において10%(集中断線の場合は5%)又はロープ5よりの間において20%以上になったもの、また、直径の減少が公称径の7%を超えるもの、腐食によって素線表面にピッチングが発生したもの、素線がゆるんだもの、形くずれしたものなどの使用を禁止しております。
(注)玉掛索は静索・動索の二面をもった使われ方をするため、取替基準としては一層シビアな基準を設ける必要があります。すなわちフック又は吊荷に接する部分で摩耗又は疲労断線が1本でも発生しますと、近くの素線も同様な劣化を受けていますので、十分な注意が必要です。
③各鉱山保安規則
ロープは腐食・ひずみ・摩耗・断線などによって、安全率がその80%以下に減少したときは使用しないことと定められており、また、人を運搬する巻上装置に使用するロープの更新基準及びその解説では、JIS7本線6よりの場合の更新基準が次のように示されています。
(a)断線、たて割れ及び変形がなく、かつ、腐食が少ない場合であってロープの直径が等価荷重直径の90%以下の部分を生じたとき。
(注) 等価荷重直径=新品実際直径×√公称破断荷重/実際破断荷重
(b)著しい変形(偏心摩耗を含む)又は著しい腐食があるとき。
(c)摩耗及び腐食が少なく、かつ、変形(偏心摩耗を含む)がない場合であって、断線又はたて割れを生じた素線数が次の何れかに該当したとき、若しくは断線又はたて割れが近接して発生し、されが急速に増加する傾向が認められるとき。
1.ロープ1ピッチの長さの間で3本以上(目視検査)又は4本以上(電磁探傷検査)
2.ロープ3ピッチの長さの間で4本以上(目視検査)又は5本以上(電磁探傷検査)
3.テストピースの破断試験の結果、伸び率が2%以下になったとき。
④単線自動循環式普通索道の索条交換基準(平成5.7.16鉄技第65号)
支えい索に日本鋼索交通協会規格に準拠するウォーリントンシール形ロープ(異形線タイプも含む。)を使用する場合の交換基準として、ロープは、次の各項の一つに該当した場合には交換しなければならないと定めています。
(a)ロープ径が、新品時の直径の3%減又は公称径の2%減より小さくなったとき。
(b)ロープの素線断線が短時日の間に増加する傾向にあるとき。
(c)ロープの使用を開始してから5年を経過したとき、又はロープの運転回数が5万回を超えたとき。ただし、前に使用したロープの状態を試験することにより、2本目以降のロープの使用期間又は運転回数をそれぞれ6年又は10万回まで段階的に増加させるものとする。
⑤鋼索鉄道における鋼索交換基準(昭和62.5.20地施第99号)
ロープは、次の各項の一つに該当した場合には交換しなければならないと規定されています。
(a)ロープの摩耗、内部腐食又は断線によって減少した面積(ロープ径減少率11%を断面減少20%とする。)とし、断線による断面減少は、そのロープのよりピッチの6倍の長さにおける破断素線の断面積とする。
(b)ロープの断線が始まって、その後素線の断線数が短時日の間に増加する傾向があるとき。
(c)素線の表面摩耗によって、外層素線の50%以上のものの直径が、使用開始時の直径の2/3以下になったとき。
(d)その他破損、変形、さび又は腐食によって、使用困難と認められたとき。
⑥昇降機の検査基準(エレベータ)JIS A 4302
ロープの使用限度が、次のように規定されています。