プレテンションの説明
2021.06.16 Wire Rope
製造したロープを更に一定時間、一定荷重をかけて初期伸び、すなわちロープの構造上の伸びを除去する目的で行われるプレテンションは、実用上多くの効果が認められています。
①プレテンション加工ロープの特性
- 初期伸びとロープ径の減少が少なくなる。
プレテンション後のロープは、構造上の伸びが除去されるために、初期伸びと初期のロープ径の減少が少なくなります。 - 伸びが少なくなる(弾性係数が高くなる)。
常用荷重以上の荷重でプレテンションされますから、荷重-伸び曲線の直線部が長くなり、またその傾斜が大きくなります。すなわち、実用範囲での弾性係数が向上します。
ロープの弾性係数Eは、次式によって求めます。E=L×W/A×l N/mm2ここで、
L:ロープの長さ mm
W:荷重 N
A:ロープの有効断面積 mm2
l:ロープの伸び mm - 耐疲労性が向上する。
プレテンションはロープのよりを安定した状態に落ち着かせて、動索としての耐久性を向上させます。
プレテンション加工は、ロープに以上のような種々の特性をもたらしますので、橋梁用主索や実用上切詰めが難点であるロープウェイに、また耐久性の向上対策としてエレベータロープや特殊クレーン用ロープなどに、プレテンション加工されることが、最近増加してきました。
②設備及び能力
直径120mmまでのロープについて、プレテンション加工が可能です。
③各種ロープのプレテンション効果
下図にプレテンション加工を施したロープと、施していないロープの荷重-伸び曲線を示します。
なお、参考までに、クレーン用ロープなど動索として使用される各種のロープの弾性係数の標準値を、下表に示します。
(注)下図の荷重率とは、ロープの破断荷重に対する負荷荷重の百分率をいう。